夏の節電対策と暑さ対策
『省エネルギーや節電』という言葉は電気が一般でも使えるようになってからずっと存在していましたが、「石油価格の不安定さや原子力発電の是非」などの問題がクローズアップされてきたことで、これからはその言葉の持つ意味が大きく変わっていくことでしょう。
政府は、夏の計画停電を「原則として実施しない」ために、産業界や家庭に具体的な節電の取り組みを求める方針を決めましたね。
電力需給緊急対策本部の資料によれば、大口需要家(契約電力500キロワット以上)は25%程度、小口需要家(同500キロワット未満)は20%程度の電力使用抑制を、一般家庭にも15〜20%の節電を求めていくと発表しました。
具体的には、製造業などには、工場の操業時間を短縮したり、電力需要のピークとなる日中を避けて早朝・深夜へのシフト、省エネ設備の導入などを挙げ、オフィスビルや商業施設などでは、空調の設定を1度上げることでビル全体の消費電力を3〜4%削減したり、照明の削減、窓に遮熱フィルムを貼る、PC・プリンタなどの使用削減、営業時間のシフトなどのほか、「クールビズ」をさらに進めた「節電ビズ」の推進も挙げているようです。
さらに、企業に対しては、夏休みの日数を増やすとともに、企業・業界間で夏休みが重ならないよう調整し、分散化することも挙げています。
家庭でも空調温度の引き上げや、エアコンの代わりに扇風機の利用、すだれやカーテンによる遮熱性の向上、使わない家電はコンセントを抜く…といった取り組みを推奨し、家族はなるべく1つの部屋に集まって団らんを過したり、電力ピーク期の家族旅行は西日本などへでかけるようにともいっています。
したがって、企業の夏休み長期化と合わせ、今年の夏は東京電力・東北電力エリア外への家族旅行が流行るかもしれませんね。
ただ、節電も重要ですが、夏場の熱中症対策もとっても大切ですよね。程度にもよりますが、重度の熱中症は命取りにもなりかねません。この夏は一時的な暑さ対策ではなく、体の健康対策も視野に入れての睡眠・食事などのケアを中心に、節電を考慮しつつも、自宅での長期的な取り組みが必要になってきます。
特にエアコンの使用については、設定温度を上げれば節電になるのはわかっているけれど、あまり涼しく感じないためつい温度を下げてしまいますよね。
でも逆を言えば、涼しく快適に過ごせるならば、ある程度設定温度を上げてしまっても良いということにもなります。そこでぜひ利用していただきたいのが扇風機です。
人は風がある状態と無い状態では、体感温度が2度くらい違うといわれています。例えば…冬の寒い日などは、同じ気温なのに風の強い日と無風の日では、強風のほうがより寒く感じるのはそのためです。したがってエアコンを付けている時も、同時に扇風機を使用すれば、適度な風を感じることでより涼しく感じられるのです。
・・・ですが、このように扇風機の同時使用をオススメすると、エアコンも使用して扇風機も使用したら、逆に電気代がかかりそうという気がしてしまいがちですが、扇風機の消費電力はエアコンに比べればごく微量なので大丈夫です。実際にどのくらい電気代がかかるかというと、扇風機の平均的な機種30〜45W程度の製品で試算すると1時間の使用で約0.7円ほどかかる計算になります。
そして、上と同様に試算をしたエアコンの場合は、1時間の使用で約16円。設定温度を1度下げればその10%の1.6円節約できるので、扇風機を併用した方がずっと節約効果が高いといえるのではないでしょうか。